日本の熱気球
毎年秋、佐賀の河川敷から 100 機。高度を選ぶことだけで争う競技。そして法律上は航空機ではない航空機。
日本は山がちで建て込んでいて、開けた平地がとても少ない国です。本来なら気球に 向かないはずですが、実際にはアジア最大の気球大会と、この競技をきわめて真剣に やる競技シーンを生んでいます。
佐賀
佐賀インターナショナルバルーンフェスタは毎年秋、嘉瀬川の河川敷で開かれます。 日本の熱気球の中心地であることに、大きな差で異論はありません。薄明かりの中を 100 機ほどが一斉に上がり、河川敷からは何十万人もがそれを見ています。
佐賀で開かれる理由は、どの気球大会がどこで開かれる理由とも同じです。平野が 平坦で開けていること、山地と有明海にはさまれて風から守られていること、そして 秋の朝に、高さごとに別の方角へ吹く弱い風が安定して現れること。最後のひとつは 風景ではありません。競技場です。場所そのものについては 佐賀とバルーンフェスタ をご覧ください。
競技気球とは実際には何なのか
見た目は一斉離陸です。実際には精密競技で、課題は独特で具体的です。
- JDG(指定目標) — 主催者が目標を指定する。できるだけ近づいて、小さな 重り付きマーカーを落とす。
- ヘア・アンド・ハウンズ(追跡) — 1 機が先に上がって降り、目標を敷く。 残り全機がそれを見つけて狙う。
- フライイン — 一定の半径内で離陸地点を自分で選び、主催者の設定した目標へ 向かう。
- ミニマムディスタンス — 決められた時間で、できるだけ動かない。互いを 打ち消す層を見つける必要がある。
どれも「マーカーから何 m」で採点され、どれも高度以外の操作なしで飛ばれます。 勝つ操縦士は、同じ空の、同じ時刻に、誰よりもうまく層を読んだ人です。
日本の航空法では、熱気球は「航空機」に分類されません。したがって操縦のための 国家資格もありません。この競技は自主規制で成り立っていて、日本気球連盟が独自の ライセンスを運用し、どこから上げてよいか、地主とどう向き合うか、どんな天候で 中止するかといった実務上の規則は、国ではなく競技者の側から来ています。
実際に飛んでいる場所
大半は河川敷です。日本の川は広く、まっすぐで、公共の平らな土地が縁取っています。 おかげでその河川敷が、国内でいちばん当てにできる広い空き地になっています。佐賀、 渡良瀬、北上、佐野や各務原の周辺 —— 日本の気球の地図は、おおむね川の地図です。
残りは北海道です。畑が十分に大きく、そもそもこの制約が当てはまらない場所です。